輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁
このアザラシが、どうしたことか、いつのまにか元気な大男の川口に、すっかりなついてしまった。
川口のやる魚なら、手のひらの上でたべた。川口がなでてやると、喜んで大きなひれのような前足で、川口をばたばたたたいた。川口が、どんなに喜んだかは、はたで見る者が、ほほえまれるほどであった。
かれは、国後にさえなつかなかった、この勇ましい、そして強情なアザラシに、「むこう傷の鼻じろ」という名まえをつけた。それは、頭に大傷のあるこのアザラシは、鼻の上に一ヵ所、一かたまりの白い毛が生えている、めずらしいアザラシであったからだ。
「鼻じろ」は、川口のじまんのもので、まるで、弟のようにかわいがっていた。かれは、ときどき料理当番にたのんで、じぶんのたべる魚の半ぶんを、料理せずに、生のまま残しておいてもらって、「鼻じろ」にたべさせていた。
ある日、夕食後のすもうで、川口が五人ぬきに勝って、みんなから拍手されたとき、「いや、『鼻じろ』にはかなわない。あいつは、二十四頭ぬきだ。アザラシの横網だよ」
と、また「鼻じろ」のじまんをした。そしてみんなも、「鼻じろ」は、たしかにアザラシのなかで、いちばん強い王様であることをみとめた。