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むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁
ときどき見えるまっ白い歯なみ。
いかめしい中に、あたたかい心があふれ出ていて、はなはだ失礼なたとえだが、かくばった顔の偉大なオットセイが、ゆうぜんと、岩に腰かけているのを思わせる。
そういえば、ねずみ色になった白の作業服で、甲板にあぐらを組み、息をつめて聞きいる、私たち三人の学生は、小さなアザラシのように見えたであろう。
中川教官は、青年時代、アメリカ捕鯨帆船に乗り組んで、鯨を追い、帰朝後、ラッコ船の船長となって、北方の海に、オットセイやラッコをとり、それから、報効義会の小帆船、龍睡丸の船長となられた。
この、報効義会というのは、郡司成忠会長のもとに、会員は、日本の北のはて、千島列島先端の、占守島に住んで、千島の開拓につとめる団体で、龍睡丸は、占守島と、内地との連絡船として、島の人たちに、糧食その他、必要品を送り、島でとれた産物を、内地に運びだす任務の船であった。
龍睡丸が、南の海で難破してから、中川船長は、練習船琴ノ緒丸の、一等運転士となり、私たち海の青年に、猛訓練をあたえていられたのである。
私は、中川教官に、龍睡丸が遭難して、太平洋のまんなかの無人島に漂着したときの話をしていただきたいと、たびたびお願いをしていたが、それが、今やっとかなったのであった。