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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,562 characters · 291 screens
「二番目の息子さんが、浜田屋へ養子になるという話もあったようですが、――あれはいつの事でした」
「鎌次郎の事ですか。――あれは世間の噂で、私と喜平さんはあんまり親し過ぎて、この上の縁まで結ぶと、かえって万一不縁になった時、イヤな思いをしなきゃなりませんから、私の方から引下がりましたよ」
「総領の嫁さんは?」
「これもまだですよ――。丸屋から貰うはずでしたが、何分、あの兄貴の源吉さんが、気象の荒い男で――」
「源吉さんと言えば、浜田屋さんから借りがあって、近頃面白くなかったという話ですが――」
「それも聴きました。――が、まさかそんな事で、浜田屋をどうしようという源吉さんじゃありません。あの男は気が短いから、カッとなると何をやり出すか解らないが、根が善人ですよ」
「…………」
「私は貸しも借りもないから、こんな時は気楽だが――」
落着いた様子や、丸屋の源吉を庇う心持などは、さすがに年輩らしい鍛錬があって、平次の疑いも挟みようはありません。
平次はそのまま帰りました。いや、門口で外を掃いている小僧を見かけると、もう立止まって、
「昨夜巳之松どんが使いに出る前、誰か来なかったかい」