Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Read 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 173,309 characters · 352 screens
最前からも申した通り、わが家の流は治国安民を道とする兵法じゃ。この父に協力して、そち達にも、御奉公を手伝うてもらいたいのじゃ」
「手伝えと仰っしゃいますと」
「又十郎も其方も、わしの手足となって、わしが行けという地方へ数年武者修行に出て欲しいのだ」
「つまり……隠密的な命を帯びてですな」
「まあ、そうじゃ」
「行く先は」
「九州一円――わけても肥前、大村、天草、島原の辺り」
「火の手の揚がりようによっては薩摩も危ないものでございますな」
「其方も感じておったか。諸州の浪人や豊臣の残党どもなどが、邪宗門に口を藉りて、土豪土民をあつめておる様子。――長崎奉行あたりの報告では、些細に申しおるが、宗門と武力が結びつくとなれば、これは捨ておけぬ大事となる。どうだ、行ってくれるか」
「十兵衛には、異存ございませぬが、又十郎は、何と申しますやら」
「否とは云わさぬ。そちからも屹度申せ。又十郎の身状、平常黙っておるが、知らぬ父ではないのだぞ」
「母上が御在世ならばと思うのでござります」
「ばかな。又十郎とて、子供ではなし」
「いやかえって、他国へ修行に出れば、彼にはよい転機と相成りましょう。