Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Read 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 178,609 characters · 362 screens
五
「面白かろう、じゃ羽村の、後で相談にゆくが、おめえ預かっておくか」
「こぶつきじゃ、有難くねえが、つれて行こう」
「だが、途中であの二本差の蜥蜴に、掠奪りされちゃ、あぶ蜂だ」と、十人ばかりの博労が、羽村の留と、お稲のまわりを取りかこんで、近道の団栗坂を下って送っていった。
ほかの博労連中も、馬をひいて、八王子街道の方へ、思い思いに。
百は、ひとり、ぼんやりと鬱いでいたが、やがて、かれも裏宿の地金屋から菰づつみのあら鐘をうけ取ると、それを肩に、田無の家へ帰った。
黒髪をわけたような青芒の武蔵野を縫う一すじの青梅街道を、三ツ木、上宿と、二里ばかりあるくと、田無だった。百の家は、そのわずかな戸数の部落からさえ離れた野中の一軒家だが、がっしりとした建てかたで、母屋の炉のまえには、棟木もはしらも、真っ黒な仕事場の――土間をかかえている。
そこの戸をあけて、百は、
「おっ母、今けえったぜ」
と、肩の物といっしょに、胸の中の鬱々まで、束にして、おっぽり出すように、がちゃんと、土間の地面へ大きな音をひびかせた。
五
裏で、桶風呂の焚口をいぶしていた母のおしげは、ふり向いて、