Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
(――何事に当ろうと、私心に負くるな。そちたちは公吏である。越前守一個の家臣ではない、公臣なのだ)
こんどの事が起ってから、越前守は町奉行として、自分たちへ、いい断っている。そうした言葉を吐くときの、語気や眉に接しただけでも、越前守の決意はよく分っている。
けれど今、目前に、その女性の影を見たとき――そして捕縄に手をふれた刹那には、さすがに、義平太も、惑わずにいられなかった。しかも、惑い、悩みながらも、彼はなお逃げる影を、追ッて追ッて追いやまなかった。
白い光が――それは十手にちがいない――あわや、魚のように、お袖の後ろへ跳びかかった。
捕えた、と慥に見えたときは、彼自身も、捕ったと思いこんだであろう。ところが、二つの影の折れ重なっているそばへ、ふいに、物蔭から駈け寄った人影が、義平太の横から彼を突きとばした。
義平太は、勢いよくよろめいて行ったが、反転して、その人間をふり向いた。
「こらッ、思いちがいするな。拙者は奉行所の者だ、奉行所の者だっ」
「わかっておる。奉行所役人が、何とした」
「やっ。承知しながら、邪魔いたすかっ。――あっ、逃がしては」
義平太が、また、お袖へ向って、躍りかけるのを、