Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

行ッて悪いわけはないんだから」

「いけない! わたくしが、そんなこと、ゆるしませぬ」

「ゆるすもゆるさないも、ありやしない。自分の良人に、女房のわたしが会いにゆくのに」

「な、なんですッて」

お縫はもう口惜しさに、いい返してやることばも出ない。紙より白い顔に、その全身に――ふるえを走らせているだけだった。

人中の――しかも十三、四歳から水茶屋にもいて、苦労にもまれ、戯れ男たちに揉まれてきたお袖と、型どおりな、やしき育ちのお縫とでは、ほとんど、太刀打ちにならないのである。

が――言葉の上では強くても、お袖には、嫉たさ、弱さ、恨めしさ、お縫以上のものがあった。

――このむすめが家つきの――そして市十郎と同じ家にいるのかとおもうと――涙につきあげられて、なおいわずにいられなかった。

「そちらは、家つきのお嬢様か何か知らないが、わたしと市十郎さんとは、可愛い子まで生した仲。よけいな水はささないでおくれ」

「おだまりっ――」

と、お縫も、負けていず、

「これから先へ、ひと足でも入ると、屋敷の者を呼びますぞ」

「ああ、お呼び。誰であろうと」

「行っては、いけないっ。――あれッ、たれか、来てえっ――」