Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

何か嬉しくてたまらないことがあるらしく、しきりに独言を言い言い歩きます。

「ところで、今様の鈴木主水を一組こしらえ上げてしまったなんぞは、刷毛ついでとは言いながら、ちっと罪のようだ」

こう言ってニタリと笑いました。この先生こそは、相生町の老女の家の兵馬を訪ねて来て、兵馬が出たあとをお松に見つかって呼び込まれて、何か兵馬の近頃の身の上について、お松に喋ってしまったことがあるらしい男です。

しかし、この先生のことだから、甲に向って喋ることと、乙に向って喋ることの間に、味をつけないで喋る気遣いはありません。そうしてその間に何かうまい汁がありとすれば、その余瀝を啜って、皿まで噛ろうという先生だから、お松に尋ねられたことも、素直には言ってしまわないことはわかっています。おべんちゃらと、お為ごかしを混合にして、けだもの茶屋の飲代ぐらいは、たしかにお松からせしめていることは疑うべくもありますまい。

ただ、そのくらいならばいいけれども、今様の鈴木主水を一組こしらえたというような言葉は、どうも聞捨てがならない。兵馬と東雲との間が、果してどんなわけになっているのか知れないが、それをお松に向って輪をかけて吹聴し、お松を嗾しかけるようなことにしては、これはたしかに罪です。