Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
十二
表へ駈け出そうとした娘は奥を振返りました。この娘はすなわちお松であります。
十二
「お君さん」
と言って、お君がじっと物を考えているところへお松が入って来ました。お君がこうして遣る瀬ない胸をいだいて物思いに沈んでいる時にも、お松はものに屈託しない晴れやかな面をして、
「わたしは今、珍らしい人に逢いました、たしかにそうだろうと思いますわ」
「それはどなた」
お君もまたお松の晴れやかな調子につりこまれて、美しい笑顔を見せました。
「当ててごらんなさい」
「誰でしょう」
「お前様の、いちばん仲のよいお友達」
「わたしのいちばん仲のよいお友達?」
と言ってお君は美しい眉をひそめました。仲の善いにも悪いにも、このお松をほかにしては、友達らしい友達を持たぬ自分の身を顧みて、お松の言うことを訝るもののようでありました。
「言ってしまいましょう、わたしは、たった今、米友さんに逢いましたよ」
「あの友さんに?」
「はい」
「どこで」
「ついそこで。この家のすぐ前の井戸のところに立っていました」
「あの人が、ここを訪ねて来ましたか。どうして、わたしのいることがわかったのでしょう。それでもよかった」