Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
四
左様、里数にしたら六里もありましょうかな」
こんな話をしている時に、船が大きな音を立てて著しく揺れました。それは東南から煽った風が波を捲いて、竜巻のように走って来て、この船の横腹にどうと当って砕けたからです。
「エ、冷てえ」
薄暗い中に坐っていたものの幾人かが、ブルッと身慄いをして、自分たちの肩を撫でおろしました。
四
それはいま砕け散った波のしぶきを多少ともにかぶったからのことで、その時に、はじめて海の風が穏かでないのみならず、天候もなんとなく険悪になっていたことを気のついた者もありました。左へ夥しく揺れた船は、それだけ右へ押し戻されました。立っていた人は、よろよろとして帆柱の縄に身を支えて、危なく転げ出すことを免れたものもありました。
「おい、船頭さん、大丈夫かい、なんだか天気が危なくなったぜ、風がひどく吹募るじゃねえか」
船頭に向って駄目を押すものがありました。船の中にあっては船頭の一顰一笑も、乗合の人のすべての心を支配することは、いつも変りがありません。
「ナニ、大したことはござんせんがね、これが丑寅に変らなけりゃあ大丈夫ですよ。そんなことはありゃしませんよ。