Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

四

お絹はホッと息をつきましたけれど、苦悶の色が面に満つるのを隠すことができません。

四

気の毒なのは駒井能登守であります。江戸の本邸に着いたまでは、ともかくもその格式で帰りました。

江戸へ着いてからいくばくもなくして、その姿をさえ認めたものはありません。番町の本邸は鎖されて朽ちかかったけれど、新しい主を迎える模様は見えませんでした。

これより先、病気であった夫人は、親戚の手に奪うが如く引取られてしまったということです。家来の者は四分五裂です。

主人の能登守は自殺したという噂もあるし、遠国へ預けられたという噂もありましたが、ただその噂だけで、誰も一向にその消息を知った者はありません。

あまりといえばこれは脆い話であります。器量と言い学問と言い、ことに砲術にかけて並ぶ者がないと言われた人であります。未来の若年寄から老中を以て望みをかけられたほどの若い人才が、ほんの一人の女のために身を誤ったとすれば、惜しみても余りあることであります。失敗や蹉跌は男子の一生に無いことではありません。事によってはそれがかえって、後日大成を為す苦き経験であることも少なくはありません。