Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

十五

いったいわたしゃ、殿様と米友さんとどっちがいいんだろう、どっちがほんとうに好きなんでしょう、わからなくなってしまった」

ムク犬は、もとよりこの疑問に答うべくもありません。

今まで忠実に主人を見守っていたムク犬が今度は、それと違って垣根の彼方を見つめています。前後の模様を見ると、垣根のかげから庭のうちをうかがっていたものがあるらしい。お君は全くそれに気がつかないが、ムク犬は早くもそれと感づいたらしいのです。

お君はその時に身のうちに寒気を感じて、いつのまにか、恥かしい寝衣姿で、奥庭の池のほとりに立っている自分を見出しました。

「ああ、悪かった、わたしは、また気がゆるんでしまいました。誰も見ていなかったかしら。ムクや、お前こっちへおいで、わたしは内へ入りますから」

正気に返ったお君は、惶として縁へ上って、障子の中へ身を隠してしまいました。

十五

それから暫らくたって、両国橋を啣え楊枝で、折詰をブラさげながら歩いて行くのは例の金助です。

「占めしめ、万事こう来なくっちゃならねえ、駒止橋の獣肉茶屋で一杯飲んで、帰りがけにももんじいやへ寄って、狐を一舟括らせて、これから巣鴨の化物屋敷へ乗り込むなんぞは、我ながら凄いもんだ」