Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
三
ナニ、雨が降ったって風が吹いたって、そんなことは苦になりませんよ、毎晩こうやってお燈明をつけに行く心持と、高燈籠へ火をうつして油がぼーと燃える音、それから勤めを果して、こうしてまた帰って来る心持と、それが何とも言えませんね……雨風といえば、近いうちに大暴風雨があるって、あの茂太郎がそう言いました、大暴風雨のある前には、蛇が沢山樹の上へのぼるんだそうですがね、本当でしょうか知ら、まあ、お気をつけなさいまし」
誰も相手が無いのに、盲法師はこう言ってから、金剛杖を取り上げてそろそろ歩き出しました。
三
けれども、その夜から翌日へかけては、べつだん雨風の模様は見えませんでした。三日目になって朝から曇りはじめたといえば曇りはじめた分のことで、これまた急には雨風を呼ぼうとも思えません。江戸の方面とても無論それと同じ気圧に支配されているのですから、その日の亥の刻に江戸橋を立つ木更津船は、あえて日和を見直す必要もなく、若干の荷物と二十余人の便乗の客を乗せて、碇を揚げようとする時分に、端舟の船頭が二人の客を乗せて、大童で漕ぎつけました。
その二人の客の一人は、どうも見たことのあるような年増の女です。