Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
十一
様子を聞いていると、どうやらこの楼へ直接談判をして、この一隊が登楼しようとする。店ではなんとか言葉を設けて、それを謝絶しようとしているものらしく聞えます。
「我々共を何と心得る、神田三崎町、土屋殿の邸に陣を置く歩兵隊じゃ、ほかに客があるなら断わってしまえ、部屋が無ければ行燈部屋でも苦しくない」
「どう致しまして」
茶袋は執念く談じつける。店の者はそれを謝絶るに困じているらしくあります。
十一
宇治山田の米友が吉原へ入り込んだのは、ちょうどこの時分のことであります。
米友は頬冠りをして、例の梯子くずしを背中に背負って、跛足を引き引き大門を潜りました。土手の茶屋で腹はこしらえて来ているし、懐ろには、さきほど浅草広小路で集めた銭が充分に入れてあるから、さのみ貧しいというわけではありません。
米友が吉原の大門を潜ったのは、申すまでもなく今宵が初めてであります。その見るもの聞くものが、異様な刺戟を与え、その刺戟がまたいちいち米友流の驚異となり、咏歎となり、憤慨となるのは、また申すまでもないことであります。米友が眼を円くして進んで行くと、ふと自分の前を、尖った編笠を被って肩に手拭をかけて、襟に小提灯をつるした三人一組の読売りが通ります。