Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

さあ、帆柱を叩き切るんだ、帆柱を。斧を持って来い、斧を二三挺持って来い。それから、苫と筵をいくらでもさらって来い、そうして、左っ手の垣根から船縁をすっかり結いちまえ、いよいよの最後だ、帆柱を切っちまうんだ」

帆柱の下で躍り上って、咽喉笛の裂けるほどに再び叫び立てたのは船頭です。ひとしきり烈しく吹きかけた風が、帆柱を弓のように、たわわに曲げて、船は覆えらんばかり左へ傾斜しながら、巴のように廻りはじめました。この声に応じて、

「おーい、おーい」

むくむくと、波風を潜って、一人、二人、三人、四人、船頭の許まで腹這いながら走せつけて来ます。走せつけて来た彼等は船頭の耳へ口をつけ、船頭は手を振り、声を嗄らして、何事をか差図をします。やがて、これらの船人はまた右往左往に船の上を走りました。或る者は筵をさらって左手の垣へ当てて結え、或る者は筵をかかえて船縁へ縋りつく。

この間に、帆柱からやや離れて上手へ廻った背の高いのが、諸手に斧を振り上げて、帆柱の眼通り一尺下のあたりへ、かっしと打ち込む。

風下にそれを受けた、背の低いのが、それより五寸ほどの下をめがけて、かっしと打ち込む。