Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
ねえ、皆さん、この船頭の言うことが不条理かエ」
「…………」
「ここで人身御供が上らなけりゃあ、みすみす三十何人の乗合が残らず鱶の餌食になってしまうのだ、それでようござんすかエ」
船頭はこう言って、乗合の者の頭の上をずらりと見渡したけれど、誰あってこれに返答する間もなく、お角は猛り立ちました。
「ふざけちゃいけないよ、やい、ふざけやがるない、こんな暴風が起ったのは時の災難だよ、なにもわたしが船に乗ったから、それで暴風が起ったんじゃないや。船に女が一人乗り合せたのがどうしたんだい、はじめのうちは船は女の物だの、正座を張れのと、さんざん人を煽てておいて、この暴風雨になると、みんなわたしにかずけて、人身御供に海へ沈んでくれとはよく出来た。そりゃ昔の橘姫というお方と、わたしたちとはお人柄が違わあ、第一、この中に日本武尊様ほどのお方がいらっしゃるならお目にかかろうじゃないか、みんな自分たちの命が助かりたいから、それで、わたし一人を人身御供に上げようと言うんだろう、虫のいい話さ、ばかにしてやがら。雑魚の餌食になろうとも、我利我利亡者の手前たちの身代りになって沈めにかかるような、そんなお安いお角さんじゃないよ。