Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
主人側では新たに手に入れた名物の自慢をし、来客側ではそれに批評を試みたりなどして鰡八御殿の上では、興がようやく酣わになろうとする時に、隣家の道庵先生の屋敷の屋根上が遽かに物騒がしくなりました。
主客一同が何事かと思って屋根の上を見た時分に、いつのまに用意しておいたものか、例の馬鹿囃子以来の櫓の上に、夥しい水鉄砲が筒口を揃えて、一様にこの御殿の座敷の上へ向けられてありました。
「これは」
と鰡八大尽の主客の面々が驚き呆れているところへ、櫓の上では、道庵が大将気取りでハタキを揮って、
「ソーレ、うて、たちうちの構え!」
と号令を下しました。
その号令の下に、道庵の子分たちは、勢い込んで一斉射撃をはじめました。これは予て充分の用意がしてあったものと見えて、前列が一斉射撃をはじめると、手桶に水を汲んで井戸から梯子、梯子から屋根と隙間もなく後部輸送がつづきました。これがために前列の水鉄砲は、更に弾丸の不足を感ずるということがなく、思い切って射撃をつづけることができました。水はさながら吐竜の如き勢いで、鰡八御殿の広間の上へ走るのであります。
これは実に意外の狼藉でありました。