Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「おじさんは、少しの間、旅をしていたんだとさ、そうして今はなんでも下谷の方にいると言ったね、政ちゃん」
子供らの米友についての知識は、これより以上に出でることはできませんでした。
これより先、この騒ぎを聞きつけて、箱惣の家の物見の格子の簾の内から立って外を覗いていた娘がありました。それは米友が井戸から上って、着物を引っかけて、帯を結んでいる時分のことであります。
この娘は、その時はじめて奥の方から出て来て、騒ぎのことはまるきり知りません。どうやら井戸へ人でも落ちたものらしいけれど、その時は井戸側の騒ぎは長屋裏の方へうつって、井戸側には、米友一人が向うを向いて帯を締めているだけのことでありましたから、最初はかくべつ気にも留めないでいました。そのうちに長屋の方からまたゾロゾロと人が引返して来ると、井戸側にたった一人で向うを向いて、着物を着て、帯を締めていた小男は、さっさと歩き出してしまいました。その小男が歩き出した途端に、簾の中から見ていた娘は、
「おや?」
と言って驚きました。再び篤と見直そうとした時に、
「お松様、お松様」
奥の方で呼ぶ声がします。
「はい」