Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「平沙の浦は平常でも浪の荒いところですから、あんな暴風雨の晩に、一つ間違うと大変なことになりますね」

「左様、平沙の浦には暗礁が多いから、晴天の日でも、ああして波のうねりがある、漁師たちも恐れて近寄らないところだが、もし、あれが人間であるとすれば、洲崎沖あたりで船が沈み、それが岸へ吹寄せられたものであろう、おそらく土地の漁師などではあるまい」

「そうでしょうかね、もし、房州通いの船でも沈んだんじゃないでしょうか」

「或いはそうかも知れん」

遠見の番所の下から、洲崎の鼻をめぐって走ること五六町。

「ああ、やっぱり人だ」

「なるほど、人間ですね」

二人は、その見誤らなかったことを喜びもし、また悲しみもし、その浜辺に打上げられた人間のところをめがけて、飛ぶように走せつけました。

磯に打上げられている人間は、女でありました。もとよりそれは息が絶えておりました。着物も乱れておりました。肌もあらわでありました。けれども、身体そのものは極めて無事なのであります。それは波に打上げられたというよりは、そっと波が持って来て、ここへ置いて行ったという方がよろしいと思われるくらいであります。