Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「まあ、お待ちあそばせ」
お角は主膳を遮ってみたけれど、主膳は聞き入れずに縁を下りて、庭下駄を突っかけました。お角はなんとなく不安心だから、それについて庭へ下りました。
化物屋敷へ人が住むようになったけれども、この庭まではまだ手入れが届いていません。八重葎の茂るに任せて、池も、山も、燈籠も、植木も、荒野原の中に佇んでいるもののようです。裏手の井戸へ行こうとするらしい主膳の姿が、その雑草の中に隠れるのを、お角はあとを跟いて行くと、お角の姿もその雑草の中に隠れてしまうほどに、萩や尾花が生い覆さっています。
「誰じゃ、そこで水を汲んでいるのは」
井戸端にいる人は返事をしませんでした。主膳は焦れた声で、
「そこで夜さり水を汲んではいかん、この井戸は、化物屋敷の井戸で、曰くのある井戸と知って汲むのか、知らずに汲むのか」
こう言われたけれども井戸端では、やはり返事がありません。たしかに人はいるにはいるのです。それも白い浴衣を着た人が少なくとも一人は、しゃがんでいることは誰の眼にもわかります。
「誰じゃ、そこで水を汲んでいるのは」
しつこく繰返して井戸端へ寄った神尾主膳、酔眼をみはって、