Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「お銀どのではないか」

それはお銀様でありました。お銀様は盥に向って何かの洗濯をしているところであります。さきほどから神尾が、再三言葉をかけたのが聞えないはずはありません。それに返答をしないのみか、こうして摺寄って来ても見向きもしませんでした。

「洗濯をなさるか、可愛い人へ、お心づくしのために」

主膳はお銀様の面を覗きました。お銀様は、その時にツイと立ってまた井戸縄へ手をかけると、神尾主膳は慌ててそれを押え、

「はッ、はッ、はッ」

と声高く笑いました。その笑い声を聞くと、お銀様は井戸縄へ手をかけたままで、じっと神尾主膳の面を睨めます。

「躑躅ヶ崎の古屋敷にこれと同じような井戸があった、その井戸で、そなたの好きな幸内とやらに、たんと水を呑ましてやったことがあるわい、それから以来、夕方にこの車井戸の軋る音を聞くと、拙者は胸が悪くなってたまらぬ、この車井戸の音が癪にさわる」

お銀様の持っている井戸縄を、片手でもって主膳は横の方から引ったくりました。

「何をなさる」

お銀様は強い声でありました。

「は、は、は」

神尾の笑い方は尋常の笑い方ではありません。その笑い方を聞くとお銀様はブルブルと身を慄わせ、