Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「幸内の敵」

思わずこう言って歯を噛むと、

「ナニ、幸内の敵がどうした、たかが馬を引張る雇人の命、この神尾が手にかけてやったのを過分と心得ろ、敵呼ばわりがおかしい、あッははは」

「ああ、口惜しい」

「何が口惜しい。なるほど、幸内は拙者の手にかけて亡き者にしてやった、お前の好きな幸内は拙者のためにならぬ故、亡き者にしたけれど、その代り、お前には別に好きな人を授けてやったはず」

「ああ、幸内がかわいそうだ」

お銀様は火を吐くような息を吐き、神尾の手から井戸縄を奪い取って、力を極めて車井戸を軋らせました。

「汝れ!」

神尾主膳は再びその井戸縄を奪い返そうとして、流しの板の上によろよろとよろめきます。それには頓着なく水を汲み上げたお銀様は、今、流しの板から起き上ろうとする神尾主膳の姿を見ると、むらむらと堪えられなくなったと見えて、

「エエ、どうしようか」

汲み上げた水を釣瓶のまま、ザブリと主膳の頭の上から浴びせてしまいました。

「やあ、慮外の振舞」

慌てて起き上ろうとするところを、お銀様は傍にあった手桶を取り上げて、中に残っていた水を柄杓ともろともに、畳みかけて主膳の頭の上から浴びせてしまいました。