Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
おやおや、この浴衣、吉原田圃で転んだ拍子に、こんなに泥だらけになっていたのを今まで気がつかなかったのはおそれ入る、気がついてみればこんなものは、一刻も身につけてはいられねえ。はてな、きがえはねえかな、こんな場合だからお殿様のお召物であろうとも、お部屋様のお召替であろうとも、何でも構わねえ、手当り次第に御免を蒙って……」
金助はあたりを見廻すと、衣桁に鳴海絞の浴衣があったから、それを取って引っかけて、なおも煙草をふかしている耳許でブーンと蚊が唸ります。
「おやおや、蚊が出やがった、おお痒い、痒い、こいつはたまらねえ」
いつのまにか蚊に手の甲を、したたかに食われていました。その手を掻いてから、ピシリと顔を打って蚊をハタキ落し、
「世の中に蚊ほどうるさきものはなし、文武と言いて夜も眠られず、さすがに寝惚先生、うまいところを言ったな。どこかにまだ蚊帳があるだろう」
金助は立って戸棚をあけると、そこに蒲団もあれば、立派な蚊帳も入れてありました。その蒲団を展べて蚊帳をつり、その中へ煙草盆を引き寄せて、ふんぞり返った金助は、
「だが、陰々と湿っぽい家だな、燈心をもう少し掻き立てて明るくしてやろう。