Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
殿様は、よくお休みのようだ、お命に仔細はあるまい、なるほど、すやすやと寝息が聞えるから、まず安心。おや、何か音がしたぜ、風が出たんじゃあるめえな」
耳をすますと、下駄を穿いて歩んで来るらしい人の足音。
「冗談じゃねえ、人の足音だぜ、しかも暢気に庭の中を、カラコロと引摺って歩いて来るのは只者じゃあねえぜ。あのお角とやらいう女の言葉では、誰もいねえ留守の屋敷だと言ったが、誰かいるじゃねえか。こいつは堪らねえ、化物屋敷の化物がおいでなすったんだぜ。人が悪いねえ、拙者を臆病と知りながら、こんなところへ送り込んで、生きながら化物の餌食とするなんぞは。いっそ、殿様をお起し申そうか。お起し申したって、死んだも同じように寝癖の悪い殿様だ、なんにもなりゃしねえ。おやおや、いよいよこっちへやって来るぜ、下駄の音がだんだん近くなるぜ、あれ、もう飛石の上のあたりを歩いているんだ。弱ったなあ、とてもこうしちゃいられねえ、何か得物はねえかな。得物があってみたところで、おれの腕じゃあ納まりがつかねえ、殿様のお寝間の中へ潜り込んでしまおうか。さあ大変、雨戸へ手をかけたぞ。雨戸には錠が下ろしてあるんだろうな、お角さん忘れて錠を下ろさずに行くなんて、そんな抜かりのある女ではなかろうはずだが……化物のことだから、戸の隙間から入って来て、金助さん