Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「御免なさい、御免なさい」

と言って子供は、揚げ板の中から炉の傍へ上って来ました。

鼠色をした筒袖の袷を着て、両手を後ろへ廻し、年は十歳ぐらいにしか見えないが、色は白い方で、目鼻立ちのキリリとした、口許の締った、頬の豊かな、一見して賢げというよりは、美少年の部に入るべきほどの縹緻を持った男の子であります。

「お前さん、どうしたの」

最初は怖れていたお角も、寧ろ人間並み以上の子供であったものだから、落着いて咎め立てをする勇気が出ました。

「助けて下さい」

子供はそこへ跪まってお角の面を見上げました。その時、見ればその眼が白眼がちで、ちらりとした、やや鋭いと言ってよいほどの光を持っているのを認められます。ただ、その身体の形を不恰好にして見せるのは、最初から両手を後ろに廻しっきりにしているからです。

「どこから逃げて来たの」

「清澄山から逃げて来ました」

「清澄山から?」

「ええ、清澄で坊さんに叱られて、縛られました。おばさん、あたいの手を、縛ってあるから解いて下さい」

「縛られてるの、お前さんは」

お角がなるほどと心得て、そこへちょこなんと跪まった子供の背後へ廻って見るとなるほど、その小さな両手を後ろに合せて、麻の細い縄で幾重にもキリキリと縛り上げてありました。