Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
色の黒い、頬骨の出た、ずいぶんいかつい顔が、ふきげんに硬ばって、いっそういかつくみえた。
「勤めが変ったそうだな」
半之助の挨拶を聞きながして、彼は、問罪者のような眼をした。
「御薬園の支配方へ出ることになりました」
「わしは大目付へ推挙した、そのことは云ってあった筈だが、忘れたのか」
「うかがったようにも思いますが……」
「ようにも思う」
「そうです、たしか昌雲寺でしたろう、大目付の記録所支配という方から、そのうち空席があったら、という……」
「それがわしの推挙で、その席はもう定っていたのも同様だ、それを承知しながら、断わりもなく他へ転役するというのは、どういうわけだ、わしの推挙が気にいらぬのか」
「むろん、そんなことはございません」
穏便、穏便、と胸のなかで自制しながら、半之助は努めて温和に答えた。
「御推挙は有難いと思います、けれども、それが決定したこととは存じませんでしたし、御薬園のほうへぜひ、という話があったものですから」
「そのとき一言、わしに断わる必要はなかったのか」
「まことに、どうも」
半之助は低頭した。冲左衛門は、さもにがにがしげに、「将来のことを思えばこそ、大目付に席を取らせようとしたのだ、それを御薬園などというばかな、隠居仕事にもならぬような、つまらぬ役について、いったい今後どうするつもりなのか」