Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
三
その微粒の塵に咽せて、彼がつよく咳くと、それが岩壁にこだまして、遠くまで、ながく尾をひきながら、響いていった。
高さは八尺、横は五尺くらいだろう、ほぼ同じ大きさの空洞が、左右へずっと延びている。どちらが入口か、はたして(いま落ちた穴のほかに)出入りをする口があるかどうか、もちろんわからない。
「だいたいの見当では」彼はそっと呟いた、「そう、かんば沢から、そう離れたところではない筈だ、少し、脇にそれているか、上のほうに当るくらいだろう」
岩屑の塵が、しずまってきた。やがて半之助は、崩れた岩の、破片の山から、左のほうへおりた。気圧が違うのか、それともあまりに静かなためか、両方の耳が、圧迫されるように、があんと鳴るのを覚えた。
二三歩あるきだした彼は、にわかに、左右が明るくなったのに気づいて、不審に思いながら、立ち停った。蝋燭を上げてみると、岩壁の天床と、左右とが、眩しいほど、光りを反射するのであった。
――それだけのことか。
出口でもあるのかと思ったので、ややがっかりし、さらに十歩ばかりゆくと、足もとに、人が倒れているのをみつけた。吃驚して、あっと、危うく叫びかけ、逃げだそうとした。