Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「そんなことまで調べたとすると、あのとき給仕に出た女中の一人は……」

「諜者は一人ばかしじゃないさ、が、まあそんなことはいいとして、その女主人の素性というものがわからない、江戸の者でないことは間違いないし、町人や農家の者でもない、おそらく富裕な郷士の娘だろうという推定なんだ、ずいぶん荒っぽく金をばら撒くからね」

「人によっていろいろの道楽があるさ」

「人によってね」主馬はじれたように云った、「しかし、この珍しい紋が、正雪の事件とも関係があり、またこんどもひっかかってきた、ということは、趣味や道楽では説明がつくまい」

五

「このあいだの七夕に、あの女主人は妹と二人で、柳沢の駒込の屋敷へいった」

主馬はこう続けた。

「その宴席では、姉妹してなにか舞ったあと、姉のほうが、柳沢吉保父子と、ながいこと密談をしたそうだ、そのとき、……どういうわけだかわからないけれども、妹のほうは屋敷をぬけだし、そのままどこかへ出奔してしまったらしい、たいへんな騒ぎだったということだ」

「そんな処にまで、諜者が入れてあるとは」

「まあ聞けよ、つまり丸茂の女主人は、そのとき柳沢父子に、なにか積極的な計画をもちだしたと思えるふしがあるんだ」