Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
執着
一
そのとき水野とか大久保などという、幕府の閣老たちも、柳沢吉里といっしょに(むろん微行ではあろうが)やはりそこから入って来た。多くのばあい、それがこの家の習慣であるらしい。付近の住民も、表門から人の出入りするのは、ごく稀にしか、見ることがなかった。
表がわは、中通りを隔てて、武家の小屋敷のある、小田原町と向きあっていた。ざっとした板塀に、小さないおり門で、見つきは閑雅な構えであるが、塀の内は、裏と同じように、樹立がみっしり繁っていて、中のようすはまったく見えないし、いおり門には番小屋がある、というぐあいで、注意して見ると、なかなか用心堅固であった。
七夕を五日さきに控えた、暑い日の午後。丸茂の表門に、珍しく客があった。
それは農家の隠居といったふうの、五十五六になる中老の男で、若い供を二人つれていた。ながい、そしていそぎの旅をして来たとみえ、埃と汗にまみれた、ひどく草臥れた恰好であったが、門番に向って、こう案内を申しいれた。
「くにから権之丞がまいったと、お取次ぎ下さい」
番小屋には小者が二人いたが、その片方が不審そうな、咎めるような眼つきで、じろじろと風態を眺めたのち、