Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
若い消息
一
人と対座するばあいには、刀は右の手に持ち、右がわに置くのが、作法である。さもなければ、害意がある、とみられても、しかたがないのであるが、いま千之助が左手に持ち替えた態度には、衝動的な、殆んど殺気に似たものがあった。
「ひとこと云っておきますがね」彼は震えながら云った、「私は貴方を憎んでいるんですよ、貴方が私の家の秘密を知っていることで、もう一つ、父が私より貴方を愛していたことで」
半之助は黙っていた。
「私はいつか貴方と決闘することになる、貴方が生きて、幸福でいることは、私には決してゆるせませんからね」
そして彼は、出ていった。
半之助は重くるしい気持で、独り盃を取りながら、不吉なことが起こりそうだ、と思った寺での予感が、どうやら本当になった、ということに気づき、「いったい、なにが始まるんだ」こう呟いて、溜息をした。まもなく、村田や青山たちが、やって来た。
若い消息
一
新御番は、俗に「番方」ともいわれた。
半之助の詰める役所は、中の口をはいった北がわにあり、縦に長い十帖ほどの広さで、書類をおさめる文庫と櫃が左右に並び、そのあいだに、古びた机が五つ置いてある。