Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
三
かれらは早くも、木戸の中の、唯ならぬようすを認めたのだろう。来太が見たときは、すでに、庄兵衛は馬上で弓を構え、一の矢をつがえていた。
「邪魔だ、どけ」来太が叫んだ。平四郎は片手をあげたが、来太は叫ぶと同時に刀を抜いて、とり囲んでいた足軽たちの輪へ、おどりかかった。鉄炮を持った同心が、来太を覘い、足軽たちがばらばらと散って、切迫した殺気が、柵の中いっぱいにひろがった。
三
手をあげながら、村田平四郎は叫んだのである。
「やめろ、しずまれ」
だがそのときは、次高来太が足軽の一人にみね打ちを入れ、他の一人の棒を半ばから切り放して、前へおどり出していた。さすがにみごとな、冴えた太刀さばきである。彼のまわりにいた、柳沢家の侍たちも、抜きつれ、小者も木刀を取りなおした。
小橋与力は、(平四郎の声が聞えなかったらしい)かなり狼狽ぎみに、鉄炮を構えている同心に向って、射てと命じ、自分は抜刀して、崩れたつ足軽たちのほうへ、とびだそうとした。
そのとき、――来太に覘いをつけた同心は、まさに引金を引こうとしていたのであるが、東の木戸の外にいた菱屋庄兵衛が、馬上から彼に弓を射かけた。