Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

夜の矢声

一

彼はこう思って、さらに行動を慎んでいた。

花世が今日、やって来て、――あたし来たでしょ。などといばったが、あれ以来それが初めてで、いくらか云いわけの意味が、あったのかもしれない。むろん、そんなことには少しも拘泥せず、古い友達かなんぞのように、楽しそうに、喰べたり話したりして、帰った。

――この調子でゆけばいい。

半之助は今、自分の覚書にそう記した。但し今夜のことは、問題がべつである。四月十一日の夜半には、亡霊の武者たちの行列がある。それにどんな秘密があるかわからないし、花世もきびしく警告したが、年にいちどしかないその行列は、どうしても見ておきたかった。

「この日は、早朝、法螺貝の合図で始まった」

彼は口で呟きながら、こう書いて、筆を置いた。

夜の矢声

一

篝火が四つ、火花をちらしながら、炎々と、闇を焦がしていた。

そのゆらめく光りが、巨きな杉の樹立と、大社づくりの古びた神殿と、その前に設けられた、方四間の舞台を、照らしだしていた。

神殿の廂には、四つ目菱の紋を打った幕が張ってあり、扉を開いた内陣に、白の大口に腹巻を重ねた老人(それはみどう清左衛門であった)が一人、神燈を護るかのように、端坐しているのが見える。