Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

二

本当は怒っているのだが、顔色にも出せないし小言も云えない、というのかもしれなかった。

なぜなら、今日は柳沢家の、駒込の下屋敷へいって、姉妹で猿楽を舞うのであるが、花世はなかなか承知しなかった。

――わたくしたちの猿楽は、年にいちど、四月十一日の夜、神前で舞うほかには、決して舞ってはならない筈です。

かたくなに首を振った。

それは事実そのとおりである。その日は恵林寺機山公(信玄)の忌日に当り、亡き霊をなぐさめるために、いろいろと深夜の行事がある。みどう家はその祭主であって、古伝の猿楽を奉納するのが、代々のつとめになっていた。

登世はもともと、おっとりとした、気のやさしい姉であった。はねまわることの好きな花世は小さいときから、すっかり甘くみていた。

――おすましやのお洒落の泣き虫さん。

などと、よくからかったものであった。

みどうでは台所と縫い張のために、五十歳以上の下婢を何人か置くほか、召使はすべて、若い男に限られていた。かれらはみな、何百年昔からの家来筋であり、天正十年に武田氏が亡びたとき、表面はまったく絶縁したかたちで、帰農したが、じっさいには、今なおみどうの家来であることを誇り、家僕として仕えることを名誉にしていた。