Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

二

若者たちが一人ずつ、交代で挨拶に来た。挨拶といっても、かれらは廊下に平伏して、大夫さま、とひと言いうだけだし、こちらは、吉兵衛か、とか、武次か、とか、ただ名を呼ぶだけである。それは一定の、格式をもった作法らしいが、しかも、その簡単な呼びかけには、一般の武家にみられるものとは違って、つくらない純朴さがこもっていた。

「もういちど伺って呉れ」

権之丞はまもなく催促した。

こんども、待て、ということであった。そして三度めには、大事な用談をしているから、知らせるまで取次ぎはならぬ。といわれた。すると権之丞は、「客は武家か」ときいて、立ちあがった。

「よろしい、押しておめどおりをしよう、案内して呉れ」

そして、さっさと廊下へ出ていった。

二

そこは、母屋から渡り廊下を架けた、別棟の建物で、床が高く、広縁には勾欄がまわしてあり、妻戸や蔀などもみえるし、廂には青銅の燈籠が吊ってあった。これは泉殿ふうの造りで、当時は門ひとつにも階級上のやかましい規則があったから、正式にいうと、建築法に触れるわけである。

縁側へあがると、書院窓のある十帖ばかりの座敷に、障子をあけ放して、女あるじの登世が、一人の侍と対談していた。