Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
同僚たちは代る代るみまいに来た。もちろん医者にもみせたし、祈祷師や修験者を呼んだりした。およそ四十日ほど、こんな状態が続いたあと、少しずつ躯もよくなり、発作の起こる回数も減って、熱心に書きものなどするようになった。……これなら恢復するかもしれない。そう思われたのであるが、九月下旬のある日、孫七がちょっと用達しに出たあとで、とつぜんまた行方をくらましてしまった。
庭の沓脱ぎ石の上に木犀の枝の剪ったのが捨ててあり、縁側に花鋏があった。木犀を剪って、活けるつもりで、そのまま出奔したもののようであった。
それが最後の失踪であった。
同僚の二三と孫七とで、甘利郷のあたりを捜してみたが、やっぱりかんば沢へはいったらしいということで、どうしようもなかった。十二月に役所から人が来て、家の中を調べたところ、持ち物はきれいに始末してあり、その処分の仕方を書いたものや、江戸の家族へ宛てた、遺書のようなものも発見され、いろいろな条件から、こんどは帰らないだろう、ということがほぼ明らかになった。こうして行方不明のまま、兵庫は病気隠居ということに定り、孫七はあと始末をして、江戸へ帰って来たのである。