Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
「お父さまは御存じの筈です」登世は少しもめげずに答えた、「御存じだからこそ、呼び戻そうとなさるのです」
「それはどういうことでございますか」
「武田家御再興の旗挙げです」
「ああ、比女さま」
権之丞は呻いた。それは怖れのようでもあり、ひどく落胆したようにも、聞える声であった。
「それは狂気の沙汰でございます」
「なにが狂気ですか」
むしろ皮肉な調子で、嘲るように登世は権之丞を見た。
「恵林寺(信玄)さま御他界から百三十余年、みどうの家はその悲願をはたすために、それだけのために在ったのでしょう、だからこそ一郡の人たちの尊崇もうけ、大名も及ばぬ生活ができたのではないか」
「いいえ、それは違います、みどうのお家は武田家御一族の名門であり、幾百年にわたって善政をお布きなされました、巨摩一郡の尊崇はそのためでございます、御再興のことなど、もはや夢物語も同様、まことと信ずるような者は一人もございません」
「かんば沢のこともですか」
そのとき登世の顔に、きらきらするようなものが、はしった。
「かんば沢の伏岩のことも、信じてはいないのですか」
「それは比女さまが御承知の筈でございます」