Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
十歩ほど離れていたので、悦之進と林助は、老公のそばへ、大股に寄って行った。
老公は、左右の町屋を見まわしながら、
「わしが在城中と、綱条の代になってからと、城下の繁昌は、どう見えるな、さびれたか、盛んになって来たか……?」
「おそれながら、較べものになりません、何といっても領民は、大柱とたのむお方のご退隠に、気力を落しておるように見られます」
「では、さびれた方か」
「陰気になりました。以前と変りなく町々はうごいて見えますが、庶民のすがたに何か元気がないようで」
「なぜじゃろう」
「むずかしい儀で、われわれ若輩などには、お答えする知識をもちませぬ」
「ウム、む」
無理もないというように老公はうなずいた。
すると本町の辻で、はたと、目のさめるような美しい娘に出会った。白粉気はないが、凛として、しかも嫋かで、文筥を胸に抱いている姿のどこかに初々しさもあって、気品のある武家娘だった。
「……?」
老公ですら、ちょっと目をみはったほどである。なぜなら、ゆくりなくも彼は、二十四、五歳の頃の恋人の貌かたちを、そのままその娘に見て、
――似ている。
と、ふと思い出したからであった。