Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
五
「出さないか。草履だ。はやく持って来いっ」
どなられて、はいと、うろうろ立ったが、また叱られた。
「玄関へではない。ここへ持って来ればいいのだ」
大刀を腰にして、かれは沓ぬぎへ足を落した。――が、十歩ほど先からまた振向いて、
「戸を閉めて、さきへ寝め。もし遅くなっても、心配いたすな」
門を出ると、又四郎は急に足を早めた。元より介三郎のあとを追って。
五
「おういっ」
暗い冬の風のなかに、先の影は立ちどまった。――振り向いて近づく跫音を待っている。
もう町に近い枯れ野だった。道の曲りかどに高い夫婦松の梢が蕭々と星にうごいている。
「佐々。待て」
「……お。又四郎か」
「はなしがある、いいのこしたことをいいに来たのだ。そこの木の根へでも腰かけてくれ」
「もうはなしはないはずだが」
「――と、おれも思ったが、つらつら考えてみると、同じお方を主君と仰ぐ同僚の縁は浅くない。行きずりの友などとはわけがちがう」
「その友を裏切っても、おぬしは独り無事でいたいといったではないか。にわかに恥じて、追いかけて来たか」
「いや、その考えに、変化はない。……が、以前、貴公に諫められた誼みがある。