Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

二十

大いに、彼の功を称し、また一転して、こういいたした。

「人生、四十五十の境ほど、過ち多いときはない。世の信望、地位の得意、みなこの頃にあるが、ひとたび辷ると、若い時代とちごうて、出直しの難しい山坂じゃ。――そちも大成を心がけてくれよ。光圀を世の笑い者としてくれるな。よいか……よいか、紋太夫」

二十

――わなないている。

紋太夫は、それをかくせない。

始めは、心のうちで、あらゆる弁抗を考え、また、

(なんの、世事、時務にくらい、この老人が)

と、生来の才智が、あくまで自己の非を蔽う理論を立てて、強いて、心のそこで嗤おうとしていたが、諄々、その硬直がくずされてしまった。

かならず、いまに老公の激烈な詰問があろう、叱責がいい出されるだろう。そう予期していたところが、それはちくと触れたのみで、あとは、数十年以来変らない温情にみちたことばのみである。

あまつさえ、この後とも、頼むぞと、すこしも主君顔をされない老公の真情にいたっては、さすがに狡智厚顔なかれも、

(ああ、罰が中ろう)

と思わず身がふるえて来たのである。どうしてこんなお方に叛いたろうかと、身のほどがそら怖ろしくなるのだった。