Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

六

どうして、かの女がここに。

また、かの女の母は、いまどこにあるか。

それらの経路を知るものは、お蕗自身と、藤井紋太夫しかないようである。

紋太夫は、はなしかけた。

「蕗どの。体でもすぐれぬか。ちと顔いろがわるいが」

「…………」

「折入って、ちとはなしたい儀がある。もそっと寄らぬか。――何を遠慮。そなたの亡父、白石助左衛門とわしとは、生前、水魚の交わりをしていたもの。いうては、恩きせがましいが、どれほど紋太夫が、役向きにも、君前へも、陰となり陽なたとなって……。いや、やめよう。そういうことを語ろうというのではなかった。実は」

と、自分のほうからにじり寄って、かの女の眸を正視した。

「蕗どの」

「…………」

「こよい、所用あって、吉保様にお目にかかって、何かのおはなしの末、聞けば、そなたはここへ来てから、とんと物をいうたことがないそうではないか」

「…………」

「将軍家のお成りにも」

「…………」

「将軍様が、怪しまれて、彼女は唖かと、吉保様へおききになった程だという」

「…………」

「それは、まったくか」

「…………」

「蕗どの」

「…………」

「これ」

「…………」

何たる無反応であろう。