Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
十一
「えっ。……老公のご出府を、もうお身まで知っているのか」
「かねてから、江戸表のほうにも、しきりと風聞されていた。――たびたび、将軍家より老公へいちど出府あるようにと、慫慂されておらるる由を」
「そのお沙汰は、とくからあるにはあったが……いま、にわかに出府あるとは、まだどこへも触れていないはずだが?」
「昨日、那珂湊の賓閣で、ご決心をつけられ、即刻、早馬でお帰りになるやいなや、老臣から各※(二の字点、1-2-22)を集められ、固いご意中を告げられたであろうが」
「それとて、つい昨夜から明け方までのあいだ、殊には、極秘の事、外部にもれるわけもないのに」
「いやいや、悪徒の奸智とは、そんな手薄なものではありません。かれらの内輪にはいって、深くその組織を知ると、真に驚くべきものです。絶対に密偵などはおらぬはずの所にも、藤井紋太夫の息のかかった者がきっといると思わなければなりません。どんなに安全な地、安全な食物にも、刃があり毒があるものと、一応は疑ってみらるるのが、ご側近のお努めかと存じます」
「……ではもう昨夜のことまでも」
「もとよりご城内の、かれらの一組には知れています。