Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

十

十

「何があったので?」

旅籠のおやじが眼をさまして起きて来た。ほかの部屋でも眼をさましたらしい物音がする。介三郎は、まだ縁に立っていたが、

「いや、何でもない。わけは明朝話す。ほかの客たちにも、眠ってくれるよう、詫びておいてくれい」

おやじは、寝衣すがたを、寒そうに屈めて、内へはいって行った。ほかの部屋の人声もすぐやんで、もとの深い夜更けに返った。

介三郎は、戸ぶくろの雨戸を、引き出そうとしかけた。すると眼のすぐ下に、何やら黒いものがうごいている。縁の下からそれへ這い出して来て両手をつかえている勘太だった。

「あっ。勘太ではないか」

思わず出た大声に、介三郎は自分ではっとしたくらいである。どうしたろう? もう戻って来なければならないのに? ……と、又四郎とはなしているまも心にかけ、いまもいまとて雨戸を引出しかけながら案じぬいていたところだった。

「なんでそんな所に坐っているか。勘太、なぜ上がらないのか」

すると勘太は、

「申しわけありません」

と、ばかりいって、しばらくは顔を上げなかったがやがて、じっと仰いで、

「すぐ、お別れ申しますから、ここでお詫びだけして参ります」