Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
四
いいかけるとすぐ、おかみさんは立ち上がって、思い出したように、土間口の下駄へ足をおろした。
「たいへんだよ、わたしはまあ。夕方になるのに、お花客先の注文を、みんな独りのみ込みしていて。――うちのおやじさんにまた呶鳴られなければならない。お次、おまえは遊んでいて、あとでまた、お夕飯の支度でもしておあげ。その頃に生きのいいお刺身でも届けてよこすから」
四
茶をのむ。茶碗をおく。
又四郎も、ちと所在がない。
「…………」
なおさらお次は身のおき場に困った。といって、帰りたそうでもなかった。
往来のざわめきが手にとるように聞えてくる。神輿のあとをまた花車や囃子屋台がつづいて行くのであろう、太鼓、笛、ちゃんぎり、世間は浮いていた。
「……あの。何かわたくしに出来ることならさせていただきます。お夕飯は、もっとあとでようございましょうか」
お次の胸も何か奏でていた。声がふるえるのである。又四郎のぶっきら棒も、無心ではあり得ない。
「あとで、よいです」
すこし硬くなって、
「お次さん、聞きたいことがある。もすこし、寄ってくれい。壁にも耳という。ちと憚ることだから」
「はい。