Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

十

もし」

歩行目附の海野三右衛門と秋山村右衛門のふたりが、そうした中に囲まれている一家族のそばへ寄って、ていねいに頭を下げた。

「――皆さま方は、藤井紋太夫どののご家族でいらっしゃいますか」

すると、他家の女房たちと、何か睦じそうに話していた三十ぐらいな眉目美い婦人が、

「はい。これにおりますのは、紋太夫どのの母御、また子息たち。わたくしは、妻でございますが」

と、しとやかに礼を返して、用向きをたずねた。

十

「お迎えに参ったのです」

海野三右衛門は、紋太夫の妻へいった。

「――特に、老公のお旨で、ご家老のご家族だけへ、あちらでそっと、お目通りをゆるされるそうでござる。てまえどもに従いてお越しください」

と、秋山村右衛門と二人して、先に立った。

「えっ、お目通りをたまわりますとな」

紋太夫の母は、光栄にわなないて、もう涙ぐんでいる。妻は、その手をとり、ふたりの息子は、あとに従った。

息子はどっちも父の紋太夫に似て端正の面ざしをしている。泉之助十三、弟の桐次郎が九つだという。

「可愛いさかりですな」

歩行目附の海野三右衛門にも、西山の田舎に子どもがある。こんど老公の供をして来ているまも、思い出すのは子どものことだけだった。