Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

耳語眼笑

一

「何を問うても、すらすらと答えるし、不審もないので」

「念が足らん。おれが行って、もういちど捕えてみよう」

又四郎が、あとへ引っ返そうとすると、初めて聞えたように、

「やめい、やめい。つまらぬ詮議だては」

「でも。……さきほども仰せられたように、威なければで」

「曲解すな。百姓隠居の往来に、なんの物騒があろう。さなきだに、旅はさびしいもの、故なく旅人をとがめるな」

老公は、馬を降りた。

山荘の門にも、梅が白い。一日見ぬまにもちがっていた。

馬の口輪を曳いて、悦之進は厩へまわる。

薬研を挽く音がしていたが、それがやむと、たちまち召使の影と影がかさなって出迎えに溢れ出てくる。――そして老公のすがたをかこみ、

「お帰りあそばせ」

「おつかれでございましょう」

ぼんぼりの明り、花明り、老公の白い髯を見ただけでも、家中みな明るくなった。

耳語眼笑

一

あくる日。

きょうは晩に汁講があるせいか、さしも閑寂な山荘にも、何となく忙しげな物音が洩れている。

たとえば、ぱん、ぱん、誰かが薪を割っている音にしても、出這入りの人の跫いろにも、忙しさがうかがわれる。

だが、こんな日でも、悠長なのは、そこここと退屈なく遊んでいる鹿と、お小納戸の隣りでする薬研の音だった。