Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
十二
ものと――極度の恐怖をいだいておりまする」
「もとより老公におかれても、このたびこそは、それくらいなご決意にはちがいないが」
「――ですから、お止めしたいのです。悪徒も、悲壮な決意をただよわせています。万一、老公がご出府ある場合は、その途中を擁して、お乗物を襲い、おいのちを縮め参らすか、あるいは、途中手をまわして、毒をさしあげ、世間へ狂死といい触らさんかなと――いまやかれらも、惨憺たる苦心の下に、悪計をめぐらしておりますゆえ……」
急に、かれは口をつぐんだ。
梅林の小道をだれか来るような跫音がうしろでしたからである。
十二
ふり向くと、ふたりは、愕然と立って、身を退けた。
すぐうしろへ来ていたひとは光圀であった。
とりわけ、愕いたのは、渡辺悦之進だったことはいうまでもない。
木の根がたに、平伏したまま、面も上げなかった。
「虚無僧……虚無僧。なぜ返辞をせぬ」
「……はいっ」
「久しぶりであったな」
「おこたえを致しまするにも、畏れ多うござります。以来、拙者めは、かりそめとは申しながら、藤井紋太夫の徒に」
「いうな」
横を向いて介三郎のうえを見た。――梅の花で埋まった空の木洩れ陽が、ふたりの肩にも、老公の白髯にも、光の斑を静かに撒いている。