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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

世間の神々

一

……だから、よく絵巻などに見える楠公夫人のやかな肖像――あの貴夫人めいたおすがたなどは、絵そら事といってよい。――おそらくは、百姓の女房たちと同じように、裾短かにくくしあげ、手も水仕のひびあかぎれや、土いじりに荒し、髪のあぶらも眉目の粧いも、かえりみる暇はなかったにちがいない……」

かれがここまで語ってきた時だった。何か頷き合っていた浪人の浮田甚兵衛と牟礼大八とは、ものもいわず、ふいに立ち上がったかと思うと、やにわに闇を衝いて湊川のほうへ駈け出して行った。

世間の神々

一

「あっ――どこへ?」

おどろいて、介三郎が腰を立てたので、ほかの者もすべて、

「おやっ?」

と、突っ立って、湊川の闇を見まもった。

駈け出して行ったきりもどって来る気はいもない。先程からのふたりの容子を考えるとき、介三郎は、何か不安な予想を抱かずにいられなかった。

「もしや?」

次には彼が、口のうちでそう呟きながら、まっしぐらに駈け出していた。

あとからあとから、みな続いて行った。さむらいだけに、ことによると、慚愧のあまり、どこかで死ぬ覚悟でもしたのではあるまいか。

たれも、すぐ感じたことは、同じだった。