Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
呼ばわってみると、初めて、寒流の中からその首は少し仰向いて、
「そうですっ。大八と甚兵衛でござる。どうぞ、お気づかいなく」
と元気よく返辞した。
いよいよ怪訝かって、
「何をしておられるのか。この寒気に、しかも夜、河の中へなど身を沈めて」
と、質問すると、ふたりは異口同音に、
「おわらい下さい。こん夜かぎり、浮田甚兵衛、牟礼大八のふたりは相果て、明朝から生れかわるつもりでござる」
「なに、生れかわる?」
「さればで」
と、ふたりは、かがめていた身を水の中にざっと立てた。胸からうえを水面にあらわして大きく答えた。
「骨髄にまで沁みこんで来た半生の懶惰や悪の垢を洗いそそぎ、もういちど神の子と生れかわる希いをいま誓ったのでござる。――凍え死なば死ね、神のおむねにまかせます。寒い、実に寒い。水は痛いほど冷とうござる。――けれどふしぎと歓びがわきあがって参ったせいか、五体のどこともなくだんだんに暖こうなって来ます。――佐々どの、これをもって、きのうまでのわれわれの罪はおゆるしください。――おゆるしくださいっ」
いい終ると、また身を沈めて、ふたりはまったく動かなかった。