Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
巷
一
「いよいよ旦那とも、お別れの日が近づきました」
と、供の勘太はそれが苦になるらしく、日本橋の雑鬧を見ても、どこか淋しそうだった。
浅草門まで来ると、
「旦那、どこまで行っても、限りがありませんから、お名残り惜しゅうございますが、ここで……」
と、自分からいい出した。
旅のあいだに、勘太の考えは聞いていたので、介三郎も止めようとはしなかった。ともあれ初志をつらぬいて、水戸の菓子屋の主人にも、人なみの客と扱われるまでにならないうちは、故郷へ帰る気はないというのである。
「なに、ここで別れる? ……。これからどこへ参るつもりか」
「あてなどはございません。河岸へ行って軽子をしようと、鉄砲笊をかついで紙屑買いをやろうと、無二無三にやって行けば、働いているうちに思案はひとりでにつくと思っているだけで」
「じゃあ、もう一晩一しょに送ろう。どこか、旅籠をとって」
「でも旦那は、これから真っすぐに、水戸様の小石川のおやしきへおいでになるんじゃございませんか」
「もう日も暮れたから、参邸は明朝にする。どこかその辺へ一泊して。――勘太、宿をさがせ」
「この辺には、商人宿や博労宿ばかりのようですが」