Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

猫の跳ぶような跫音が、ばらっと、縁の上から下へ降りた。ひとりやふたりの物音ではない。

又四郎は、ふり向いて、介三郎へ小声をかけた。

「……迷惑をかけたなあ。隙を見て、外へひっぱり出すから、貴公は、そのまま坐っていてくれ。貴公を縄にかけようとはしまい」

「迷惑などかまわぬが、何だ……いったい?」

「町奉行の手先だろう」

「捕手か」

「捕手に追われる覚えはないが、罪のあるなしなど問題ではないのだ。いまの幕吏の半分は、吉保の私兵といってもいいものばかりだからな」

「もう、先にも、覚られているのか……」

「水戸浪人と聞くだけでも、吉保はおぞ気をふるう。おれのあとには、絶えず何者か眼を光らしたのがつき纏っている。――が、案じてくれるな。そんなものに、手ごめになる又四郎ではない」

いい終ると、又四郎は、身をのばして、ふッと行燈をふき消した。そしてそのまま、介三郎のそばへ寄って来て、かたくかれの手を握りしめていった。

「佐々。暴言ばかり吐いたがゆるしてくれ。どうか、おぬしだけは、老公のお側にいて、おれの分まで、忠勤をたのむぞ。もう会えぬかもしれん。おさらば」

がたっと、障子の桟がつよく鳴った。